カチン。
どこかで音が鳴ったような気がした。
実際そのように聞こえたかどうかもさだかでは無い。
が、記憶に残るイメージはそのように伝えている。
振り向くと、目覚まし時計が4時を指し示していた。
PC の時間もその時刻である。
ふと考えた。
いま、この瞬間さっきまで何をしていたのか。
たしか、いろいろと考え事をしていた。
だが、内容を思い出せない。
「ええっと・・・」
なにか、とてつも無く大事な事を考えていたはずだった。
だが、どうしても全てがはっきりしない。
良く考えると、眼の前のPC に見覚えが無い。
何かのアプリケーションが入力待ちになっている。
じっと考える。
目覚まし時計の時を刻む音が背後から聞こえる。
ついさっきまで、そこにあったはずの記憶を
ひたすら辿ろうと努力する。
何分が経過しただろうか。
10分を超えているかもしれない。
「あっ」
頭の中に「ある文字列」がひらめいた。
無意識にその文字を入力する。
エンターキー・・・
「キキキキキッーーーー」
目の前で、車がクラッシュして炎上していた。
警察に連絡しようと急いで携帯を出した。
すると。
携帯は 16:00 を表示していた・・・
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