少し暗くなって来たかもしれない、
しかしそれなりに暖かい気のする蛍光灯の明かり。
その光を背中に受ければ当然影が前に伸び、
伸びた先のベランダのしきいから、
冷たい空気が足元に忍び寄る。
その空気の質感とはまた別に、
正面から響きわたる音。
この季節を千秋の思いで待ちかねたかもしれない。
蟲達がいのちを闇に溶け込ませている。
眠らぬものたちの饗宴が、
どこかで必ず最高潮に達しているはず。
さてはいくつもの声が闇を通りこしてここに。
何かを連れてきたようである。
盂蘭盆を過ぎてかえりみちに迷い、
蟲のちからを借りてここに辿りつく。
名残り惜しさが現世の香にすこし干渉して。
私のほほにもつたう。
世の人の知らぬ永遠に繰り返される物語は、
見えぬひとたちが思うより心地良いものである。
Special thanks
Image by Little Eden
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