和夜、白夜、千夜




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僕はずっと立ち尽くしていた。



体は少し前から寒さを感じる事を止め、
目の前を交差する白い結晶に神経が研ぎ澄まされつつあるのを感じた。


少しづつ見えて来る。
結晶と結晶のつなぎ目をはっきりと感じる事ができる。
不思議とは思わなかった。
むしろ当然と思えたのは、その結晶達の重なりのむこうにたたずむ
人影のせいなのだろう・・・


「あなたは何故凍らないの?」


無表情に近い。いや、確かに笑みを浮かべていると解るのだが、
そこにある美しさと、限り無くゼロに近い空気の振動が、
感情を伝える事を妨げている。


「僕は、人を・・・」

「あなたは、白いほうの人ね」


と、僕の言葉を最後まで聞かず彼女が答えた。
今度は明らかに彼女の感情が迸る。
僕の正体に気づいたようだが逃げる様子は無い。


「協力。してくれるかい?」


彼女は頷いた。
これで、黒いほうの「僕」に勝てるかもしれない・・・