和夜、白夜、千夜




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タエ子は4つ年上です。 


彼女の見た風景は、自分の過去に見てきた風景とあちらこちらで重なります。 
シチュエーションは違いますが、現実の記憶量は自分のほうが多い。 
呼び起こされた記憶はタエ子のそれを軽く超えてしまいます。 

私らの年頃はみなそうでしょう。 

もし、私達全員に文才があったら、 
あんな小説が何万本も完成するでしょうね。 









今の実家の家が建てられる前は借家でした。 

2階の無い平屋でお風呂は木でできていました。 
近所は田んぼばかり。 
私は、少し歩いた道路まで出て、 
幼稚園の送迎バスに迎えられるという毎日を送っていました。 

その道筋に、当時の自分からは小川に見えた水路があり、 
そこへ花びらや葉で作った舟を浮かべ、 
わくわくしながら流れるのを追いかけた記憶があります。 

近所には土地の人の大きな古い家があり、 
その庭はまるで校庭のような広い広場になっています。 

その家のたたみの上に上がるには、土の廊下からいったん高い部分にあがる 
という構造で、土の廊下の奥には土間の台所があったはずです。 


私はその家の子のもつブロックのおもちゃが欲しくて欲しくてたまらず、 
勝手に家へ持って帰って木でてきた引出しの一番上に隠していました。 

なぜか母親に見つかり、 

「欲しかってん」 


・・とうつむいて答えました。 


そんなに叱られた記憶は無く、連れられてあやまりに行ったのですが、 
いつしか「レゴ」のブロックを与えられ、夢中になったのを覚えています。 

いまでも自分の小さな指が、ブロックで舟を作っていくのを思い出せます。 



もっといろいろあります。 

その古い家の裏には細い通路があり、 
何故かそこで鉄でてきた「十字手裏剣」を手にいれました。 
今考えると、おそろしく危険なおもちゃですが 
刺さるほど鋭利では無く、小さな子供が研ぐ事を知るわけも無く 
すぐ飽きて元あったところに捨てたですね。 

また、幼稚園児(年少)のくせに近所の悪ガキと焚き火やって 
大人達から大目玉食らったり、鶏飼ってる家に忍び込んで 
卵を盗んで家の前で割ってみせて威張ってみたり。 

ある時は鼻血が止まらなくなって、 
その悪ガキ達が戸板で家まで運んでくれました。 
また、悪ガキ達に連れられて遠い遠い場所へ遠征し、 
途中で不安になって一人で帰って迷子になって、 
泣いているところをお百姓のおじさんに助けられて、 
おんぶされて田んぼの中を知ってる場所まで運んでもらいました。 


もう、これだけでも小説一つ書けそうです。