和夜、白夜、千夜




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交番には若い警官が一人残っただけでガランとしてしまった。 

本署へ事情聴取の為、移動しなければならないのだが、 
お嬢の車待ちである。 

俺と猫はさっきの騒々しさとはうって変わったかなり広めの 
交番の中で、折りたたみ椅子に並んで腰掛けていた。 


「ちょっと遅いなぁ・・・」 


まあ、残ったメンバーへの説明もあるだろうし、 
というか、これからバーベーキューの買出しというところで 
起こった事件。 

俺としては、バーベキューそのものには未練は無かったが、 
なんか複雑な心境だった。 
お嬢の悔しがる顔を見る必要は無くなったが、 
久しぶりに集まった night 組の面々とはまだ軽く話した程度。 
よく解らないままに、交番で佇んでいる訳である。 


「あ、来た」 


お嬢が車を廻して来た。 
これでこれから本署まで移動するのであるが、 
この車で実は、2往復する事になるのである。 
しかも、行きと帰りを含めれば、 
目的の河川敷を渡る橋をなんと3往復するのである。 


「お、しょぼっ」 


着いた場所は、寂れた工場・・・のような一見警察署とは 
思えない、しみのついた高い壁のある駐車場だった。 
その向かいに長く広い階段がある。 
のぼりつめると、それらしい雰囲気のある場所へ出た。 

まさに常に記憶にある「警察署」だった。 




受付には2人の年配の警官が居たが、 
なんか要領を得ない。 
出るとき交番の若い警官が「連絡しておきます」と確かに 
言ったのだが、通じない。 

おいおい・・・ 

とつぶやいてあたりを見回していると、 


「刑事科へ行って下さい。」 
「そこ曲がって3階ね」 


え゛ 



そういうところに正当な理由で過去2度ほど行った 
事があるが、あまりいい思い出は無い。 
でも、まあ仕方無いのでドアを通り抜ける。 

そこは。 


雑然とした古い映画に出てくるような場所だった。 
が、何故か全ての机の上にはノートパソコンがあり、 
机と錠で繋がれており、こう書かれたカードが貼ってあった。 


「持ち出し可能」